DDoS Attack Trends for 2022 Q1

2022年最初のDDoSレポートへようこそ。今回で通算9回目とります。このレポートには、2022年1月から3月までの間にCloudflareのグローバルネットワークで観測された、アプリケーション層とネットワーク層の両方のセクションにおける新しいデータポイントや洞察が含まれています。

2022年第1四半期は、アプリケーション層DDoS攻撃の大幅な急増が見られましたが、ネットワーク層全体のDDoS攻撃の総数は減少しました。減少したものの、ボリューム型DDoS攻撃は前四半期比最大645%と急増し、緩和した新たなゼロデイリフレクション攻撃は増幅率2200億%となりました。

ロシアとウクライナのサイバースペースにおいて、最も標的にされた産業はオンラインメディアと放送メディアでした。アゼルバイジャンとパレスチナのCloudflareデータセンターではDDoSの活動が急増しており、これは内部から操作されるボットネットの存在を示しています。

ハイライト

ロシアおよびウクライナのサイバースペース

  • 第1四半期にロシア国内で最も標的にされた産業は、ロシアのオンラインメディア企業でした。次いで標的とされたのはインターネット業界、暗号通貨、小売業の順となっています。ロシアの暗号通貨企業を狙った攻撃の多くは、ウクライナや米国を発生源としていましたが、もう一つの主要な攻撃源はロシア国内そのものからでした。
  • ロシア企業を標的としたHTTP DDoS攻撃の大半は、ドイツ、米国、シンガポール、フィンランド、インド、オランダ、ウクライナから発信されたものでした。ここで重要なのは、サイバー攻撃のトラフィックの発信元を特定できることと、攻撃者の所在を特定できることは別物であることに留意することです。
  • ウクライナへの攻撃は放送メディアや出版社のウェブサイトが標的とされ、より多くの国が発信源となり、より拡散されたものと見られます。これは、国際的にボットネットが使用されていることを示している可能性があります。しかし、攻撃トラフィックのほとんどは、米国、ロシア、ドイツ、中国、英国、およびタイから発信されたものです。

オープンインターネットのロシアへの流入を続けるため、攻撃を防ぐためにCloudflareが行っていることをご覧ください。

ランサムDDoS攻撃

  • 2022年1月、攻撃を受けている回答者の17%以上が、ランサムDDoS攻撃の標的にされた、または事前に脅迫を受けたと回答しています。
  • この数値は2月には6%、3月には3%へと急激に低下しました。
  • これまでの四半期と比較すると、第1四半期にランサムDDoS攻撃を報告した回答者は全体の10%に過ぎず、前年同期比で28%減、前四半期比で52%減となっていることがわかります。

アプリケーション層DDoS攻撃

  • 2022年第1四半期は、アプリケーション層への攻撃が過去12ヶ月で最も活発な四半期となりました。HTTPレイヤーのDDoS攻撃は、前年同期比164%増、前四半期比135%増となりました。
  • 四半期をさらに詳しく見ると、2022年3月には、第4四半期(および第3四半期、第1四半期)の総数を上回るHTTP DDoS攻撃がありました。
  • HTTP DDoS 攻撃の発生源は、4四半期連続で中国がトップでしたが、今四半期は米国がトップに躍り出ました。米国を発生源とするHTTP DDoS攻撃は、前四半期比6,777%、前年同期比2,225%という驚異的な増加率を示しています。

ネットワーク層DDoS攻撃

  • 第1四半期のネットワーク層攻撃は、前年同期比で71%増となりましたが、前四半期比では58%減となりました。
  • ネットワーク層DDoS攻撃で最も標的とされたのは電気通信業界、次いでゲーム・ギャンブル会社、情報技術・サービス業界でした。
  • 帯域幅消費型攻撃は第1四半期に増加しました。10Mpps(百万パケット/秒)を超える攻撃は前四半期比300%以上、100Gbpsを超える攻撃は前四半期比645%増となりました。

本レポートは、CloudflareのDDoS Protectionシステムによって自動的に検知・軽減されたDDoS攻撃に基づいています。この仕組みの詳細については、詳しく書かれたこちらのブログ記事をご覧ください。

私たちのネットワークで観測されたDDoS攻撃の測定方法についての特記事項
攻撃の傾向を分析するために、当社のグローバルネットワーク、特定の場所、または特定のカテゴリ(業界や請求先の国など)で観測された総トラフィック(攻撃+クリーン)に占める攻撃トラフィックの割合である「DDosの活動」レートを計算します。割合を測定することで、データポイントを正規化し、例えば総トラフィックが多く、攻撃回数も多いと思われるCloudflareデータセンターに対する絶対数に反映される数値の偏りを回避することができます。

ランサム攻撃

当社のシステムはトラフィックを常時分析し、DDoS攻撃を検知すると自動的に被害軽減措置を適用するシステムです。DDoSの被害に遭われたお客様には、攻撃の性質や軽減措置の効果をよりよく理解するために、自動化されたアンケートをお願いしています。

Cloudflareでは、2年以上前から攻撃を受けたお客様を対象にアンケート調査を実施しています。アンケートの質問の1つに、DDoS攻撃を止める代わりに支払いを要求する脅迫や身代金請求書を受け取ったかどうかというものがあります。前四半期の2021年第4四半期には、記録的なレベル(お客様の5人に1人)のランサムDDoS攻撃が報告されました。今期ではランサムDDoS攻撃が減少し、ランサムDDoS攻撃の報告者は回答者の10人に1人までになっており、前年同期比28%減、前四半期比52%減となりました。

ランサムDDoS攻撃の標的にされた、または事前に脅迫を受けたと回答した割合です。

月別に見ると、2022年1月の第1四半期に最も多くの回答者が身代金要求の手紙を受け取ったと報告してることが分かります。これは、ほぼ5人に1人のお客様(17%)です。

Graph of ransom DDoS attacks by month

アプリケーション層DDoS攻撃

アプリケーション層DDoS攻撃、中でもHTTP DDoS攻撃は通常、正当なユーザーリクエストを処理できないようにしてWebサーバーを停止させることを目的とします。処理能力を超えるリクエストが殺到すると、サーバーは正当なリクエストをドロップするか、場合によってはクラッシュし、その結果、正当なユーザーに対するパフォーマンスの低下や障害が起こります。

正規なユーザーへのサービスを拒否するDDoS攻撃の図

アプリケーション層DDoS攻撃の月別推移

第1四半期は、アプリケーション層DDoS攻撃が前年同期比164%増、前四半期比135%増と急増し、過去1年間で最も多発した四半期となりました。

アプリケーション層DDoS攻撃は、2022年の第1四半期にかつてないほど増加しました。3月だけで、2021年第4四半期の総数(および第3四半期、第1四半期)を上回るHTTP DDoS攻撃が発生しています。

Graph of the yearly distribution of application-layer DDoS attacks by month in the past 12 months

過去12ヶ月のアプリケーション層DDoS攻撃の月別四半期分布のグラフ

アプリケーション層DDoS攻撃<業界別>

第1四半期に最も標的とされた業界は、家電業界でした。

世界的には、家電業界が最も攻撃され、前四半期比5,086%増となりました。第2位はオンラインメディア産業で、攻撃件数は前四半期比2,131%増となりました。第3位はコンピュータ・ソフトウェア企業で、前四半期比76%増、前年同期比1,472%増となりました。

2022年第1四半期におけるHTTP DDoS攻撃の業種別分布グラフ

しかし、ウクライナとロシアだけに注目すると、放送メディア、オンラインメディア企業、インターネット企業が最も標的にされていることがわかります。詳しくはオープンインターネットのロシアへの流入を続けるため、攻撃を防ぐためにCloudflareが行っていることをご覧ください。

2022年第1四半期におけるロシア産業界へのHTTP DDoS攻撃の発信国別分布グラフ

2022年第1四半期におけるウクライナ産業界へのHTTP DDoS攻撃の発信国別分布グラフ

アプリケーション層DDoS攻撃<攻撃元の国別>

HTTP攻撃の発信元を理解するために、攻撃HTTPリクエストを生成したクライアントに属する送信元IPアドレスのジオロケーションを調べます。ネットワーク層の攻撃とは異なり、HTTP攻撃では送信元IPアドレスを詐称することはできません。ある国でのDDoS活動の割合が高い場合、通常、その国の国境内で活動するボットネットが存在することを示しています。

HTTP DDoS 攻撃の発生源は、4四半期連続で中国がトップでしたが、今四半期は米国がトップに躍り出ました。米国を発生源とするHTTP DDoS攻撃は、前四半期比6,777%増、前年同期比2,225%増という驚異的な増加率を示しています。2位の中国に次いで、インド、ドイツ、ブラジル、ウクライナと続いています。

Graph of the distribution of HTTP DDoS attacks by source country in 2022 Q1

アプリケーション層DDoS攻撃<標的国別>

どの国が最もHTTP DDoS攻撃の標的になっているかを特定するため、お客様の請求先国別にDDoS攻撃を分類し、全DDoS攻撃に対する割合で表現しています。

米国は3四半期連続の1位から2位に後退しました。HTTP DDoS攻撃で最も標的とされたのは中国の組織で、米国、ロシア、キプロスがそれに続く形となりました。

第4四半期におけるHTTP DDoS攻撃の対象国別分布のグラフ

ネットワーク層DDoS攻撃

アプリケーション層攻撃は、エンドユーザーがアクセスしようとしているサービスを実行するアプリケーション(OSI参照モデルの第7層)を狙うのに対し、ネットワーク層攻撃はネットワークインフラ(インラインルーターやサーバーなど)とインターネットリンクそのものを圧倒しようとします。

ネットワーク層DDoS攻撃<月別>

第1四半期にはHTTP DDoS攻撃が急増したものの、ネットワーク層DDoS攻撃は実際には前四半期比で58%減となりました。しかし前年同期比では71%増となっています。

第1四半期をさらに詳しく見ると、ネットワーク層DDoS攻撃の量は各月を通じてほぼ一定であり、毎月約3分の1ずつ発生していることがわかります。

過去12ヶ月のネットワーク層DDoS攻撃の月別年間分布のグラフ

過去12ヶ月のネットワーク層DDoS攻撃の月別四半期分布のグラフ

過去12ヶ月間のネットワーク層DDoS攻撃の分布グラフ

Cloudflare、ゼロデイDDoSアンプ攻撃を緩和

これらのネットワーク層DDoS攻撃の中には、Cloudflareが自動的に検知し緩和したゼロデイDDoS攻撃も含まれています。

3月初旬、Cloudflareの研究者らが、企業の電話システム「Mitel」に存在するゼロデイ脆弱性の調査と公開に協力しました。この脆弱性を利用すると、攻撃者は他の悪用の可能性もありますが、DDoSアンプ攻撃を行うこともできます。この種の攻撃は、トラフィックを脆弱性のあるMitelサーバーから被害者へ反射させ、その過程で送信されるトラフィック量を増幅(この特定のケースでは増幅率2200億%)させます。これについての詳細は、最新のブログ記事をご覧ください。

当社では、このような攻撃を当社のネットワーク上でいくつか観測しました。そのうちの1つは、Cloudflare Magic Transitサービスを利用している北米のクラウドプロバイダーを標的としたものでした。この攻撃は、主に米国、英国、カナダ、オランダ、オーストラリア、その他約20カ国からの100のソースIPを発信源としていました。ピーク時には50Mpps(~22Gbps)を超えましたが、Cloudflareのシステムによって自動的に検出、軽減されました。

Cloudflareによって軽減されたDDoSアンプ攻撃のグラフ

業種別ネットワーク層DDoS攻撃

ネットワーク層DDoS攻撃の多くは、CloudflareのIP範囲を直接ターゲットにしています。これらのIP範囲は、WAF/CDNのお客様Cloudflareの権威DNSCloudflareのパブリックDNSリゾルバー1.1.1.1Cloudflare Zero Trust製品、および企業オフィスなどに提供されています。また、Spectrum製品を介してお客様に専用IPアドレスを割り当てたり、Magic TransitMagic WANMagic Firewall製品を介して他社のIPプレフィックスをアドバタイズしてL3/4 DDoS保護にも使用しています。

このレポートでは、初めてネットワーク層DDoS攻撃をSpectrumとMagic製品をご利用いただいているお客様の業種別に分類するようにしました。この分類により、ネットワーク層DDoS攻撃によって最も標的とされている業種を理解することができます。

第1四半期の統計を見ると、Cloudflareのお客様に向けて発信された攻撃パケット数と攻撃バイト数から、電気通信業界が最も多く標的とされたことがわかります。Cloudflareが軽減した攻撃バイト数の全体の8%以上、攻撃パケット全体の10%が通信会社を標的としたものでした。  

続く2位、3位に大きな違いは無く、「ゲーム/ギャンブル」「情報技術・サービス」となっています。

ネットワーク層DDoS攻撃のバイト数とパケット数の業界別分布グラフ

ネットワーク層DDoS攻撃のバイト数とパケット数の業界別分布グラフ

標的国別ネットワーク層DDoS攻撃

お客様の業種別の分類と同様に、アプリケーション層DDoS攻撃で行ったようにお客様の請求先国別に攻撃をバケット化して攻撃上位国を把握することも可能です。

第1四半期の数字を見ると、DDoS攻撃トラフィックのうち米国が最も高い割合で標的とされており、攻撃パケット全体の10%以上、攻撃バイト数の全体のほぼ8%を占めていることがわかります。米国に続いて、中国、カナダ、シンガポールが続く結果となっています。

ネットワーク層のDDoS攻撃バイト数とパケット数の標的国別分布グラフ

Graph of the distribution of network-layer DDoS attack packets by target country

流入国別ネットワーク層DDoS攻撃

ネットワーク層DDoS攻撃の発生源を把握しようとする場合、アプリケーション層の攻撃解析と同じ方法は使えません。アプリケーション層DDoS攻撃を仕掛けるには、HTTP/S接続を確立するために、クライアントとサーバーの間でハンドシェイクを成功させる必要があります。ハンドシェイクを成功させるためには、攻撃者はその送信元IPアドレスを偽装することはできません。そのため攻撃者はボットネット、プロキシ、およびその他の方法を使用して身元を難読化させることができますが、攻撃側クライアントの送信元IPは偽装できないため、そのIPはアプリケーション層DDoS攻撃の発信源を正しく示しています。

一方、ネットワーク層DDoS攻撃を仕掛けるには、ほとんどの場合、ハンドシェイクは必要ありません。攻撃者は攻撃元を難読化し、攻撃特性にランダム性を導入して単純なDDoS防御システムでは攻撃をブロックすることを困難にするために、ソースIPアドレスを偽装することができます。そのため、偽装された送信元IPに基づいて発信源の国を導き出した場合、「偽装された国」を得ることになります。

このため、ネットワーク層DDoS攻撃の発信源を分析する際には、攻撃の発信源を把握するために(潜在的に)偽装されたソースIPではなく、トラフィックが取り込まれたCloudflareエッジデータセンターのロケーション別にバケットを構成します。世界270以上の都市にデータセンターがあるため、レポートで地理的な正確さを達成することができます。ただし、コスト削減から輻輳や障害管理まで、さまざまな理由でトラフィックがバックホールされ、さまざまなインターネットサービスプロバイダや国を経由してルーティングされる可能性があるため、この方法でも100%正確ではありません。

第1四半期において、アゼルバイジャンにあるCloudflareのデータセンターで検出された攻撃の割合は、前四半期比16,624%増、前年同期比96,900%増となり、ネットワーク層のDDoS活動の割合が最も高い国(48.5%)となっています。

アゼルバイジャンのデータセンターに続き、パレスチナのデータセンターでは、全トラフィックの41.9%という驚異的な割合でDDoSトラフィックが発生しています。これは、前四半期比10,120%増、前年同期比46,456%増となりました。

第4四半期におけるネットワーク層DDoS攻撃の発信国別分布のグラフ

第4四半期におけるネットワーク層DDoS攻撃の発信国別分布のグラフ

すべての地域と国を表示するには、インタラクティブマップをご覧ください。

攻撃ベクトル

第1四半期では、一般的なUDPフラッドの使用が大幅に減少する一方で、SYNフラッドが依然として最も人気のあるDDoS攻撃ベクトルとなっています。

攻撃ベクトルとは、攻撃者がDDoS攻撃を行う際に用いる手法のことで、IPプロトコル、TCPフラグなどのパケット属性、フラッディング方法などの基準を示す言葉です。

第1四半期は、ネットワーク層へのDDoS攻撃全体の57%をSYNフラッドが占め、前四半期比69%増、前年同期比13%増となりました。2位はSSDPを使った攻撃で、前四半期比1,100%を超える急激な増加となりました。以下、RSTフラッドとUDPを使用した攻撃へと続きます。前四半期は汎用UDPフラッドが2位でしたが、今回は汎用UDP DDoS攻撃が前四半期の32%から87%減少し、わずか3.9%にとどまりました。

第4四半期のネットワーク層DDoS攻撃ベクトル上位のグラフ

新たな脅威

上位の攻撃ベクトルを特定することは、組織が脅威の状況を理解するのに役立ちます。そうすることで、これらの脅威から身を守るためにセキュリティ体制を強化することができます。同様に、まだ攻撃の大部分を占めていない新たな脅威について知ることは、それらが大きな力となる前に軽減するのに役立ちます。  

第1四半期に新たに出現した攻撃ベクトルを見ると、Lantronix社のサービスのリフレクションDDoS攻撃(前四半期比971%増)やSSDPリフレクション攻撃(前四半期比724%増)が増加していることが確認できます。また、SYN-ACK攻撃は前四半期比437%増加し、ボットネット「Mirai」による攻撃は前四半期比321%増となりました。

攻撃者によるLantronix Discovery Serviceからのトラフィックの反射

Lantronix社は、米国に拠点を置くソフトウェア/ハードウェア企業であり、Internet of Things(IoT)管理のためのソリューションを幅広く提供しています。同社がIoTコンポーネントを管理するために提供しているツールの1つが「Lantronix Discovery Protocol」です。これは、Lantronix社製のデバイスを検索して見つけるためのコマンドラインツールです。この検索ツールはUDPベースで動作するためハンドシェイクの必要がありません。送信元IPはスプーフィング(なりすまし)が可能です。そのため、攻撃者はこのツールを使って、4バイトのリクエストで一般に公開されているLantronix社製のデバイスを検索することができ、その結果ポート30718から30バイトの応答が返されます。被害者の発信元IPを偽装することで、すべてのLantronix社製のデバイスは被害者とターゲットとした応答のリフレクション/アンプ攻撃をもたらします。

リフレクションDDoS攻撃に使用されるSimple Service Discovery Protocol

Simple Service Discovery Protocol(SSDP)プロトコルは、Lantronix Discoveryプロトコルと同様に動作しますが、ネットワーク接続されたプリンターなどのUniversal Plug and Play(UPnP)デバイスを対象としています。SSDPプロトコルを悪用することで、攻撃者はリフレクションベースのDDoS攻撃を発生させ、ターゲットのインフラストラクチャを過負荷状態にして、そのインターネットプロパティを停止させることができます。SSDPベースのDDoS攻撃についてはこちらをご覧ください。

2022年第1四半期におけるネットワーク層への新たなトップDDoS攻撃脅威グラフ

ネットワーク層DDoS攻撃<攻撃レート別>

第1四半期には、パケットレートとビットレートの両方の観点から、ボリューム型DDoS攻撃が大幅に増加したことが確認されました。10Mppsを超える攻撃は前四半期比で300%以上増、100Gbpsを超える攻撃は前四半期比で645%増となりました。

L3/4 DDoS攻撃の規模の測定には、さまざまな方法があります。1つは送信するトラフィックの量で、ビットレート(具体的にはテラビット/秒またはギガビット/秒)を使用して測定します。もう1つは送信するパケットの数で、パケットレート(具体的には、何百万パケット/秒)を使用して測定します。

ビットレートの高い攻撃は、インターネットリンクの閉塞を発生させることによってサービス妨害を起こそうとし、パケットレートの高い攻撃はサーバーやルーター、その他のインラインハードウェア機器を過負荷状態に陥れようとします。これらの機器は各パケットの処理に特定量のメモリと計算能力を割きます。多数のパケットが送り付けられると機器の処理リソースが枯渇してしまう可能性があります。その場合はパケットが「ドロップ」されます。つまり、機器がそれらを処理できない状態となるのです。ユーザーに対しては、サービスの中断や拒否になります。

パケットレート別分布

ネットワーク層DDoS攻撃の大半は、毎秒5万パケット以下にとどまっています。50kppsはCloudflareの規模では低い方ですが、それでも保護されていないインターネットのプロパティを簡単にダウンさせ、標準的なギガビットイーサネット接続でさえも輻湊させることができます。

2022年第1四半期におけるネットワーク層DDoS攻撃のパケットレート別分布のグラフ

攻撃規模の推移を見ると、10Mppsを超える攻撃は前四半期比で300%以上増となっていることがわかります。同様に、1~10Mppsの攻撃は前四半期比で40%近い増となっています。

ネットワーク層DDoS攻撃のパケットレート別分布の前四半期比の変化のグラフ

ビットレート別分布

第1四半期は、ネットワーク層DDoS攻撃の大半が500Mbps未満にとどまっています。これもCloudflareの規模ではわずかな減少ですが、保護されていないインターネットのプロパティを即座に停止させ、標準的なギガビットイーサネット接続でさえも輻湊させることができます。

2022年第1四半期におけるネットワーク層DDoS攻撃のビットレート別分布のグラフ

1秒あたりのパケット数の領域と同様に、ここでも大きな増加傾向が見られます。ピーク時に100Gbpsを超えるDDoS攻撃は前四半期比645%増、ピーク時の10Gbps~100Gbpsの攻撃は407%増、ピーク時の1Gbps~10Gbpsの攻撃は88%増、さらにピーク時の500Mbps~1Gbpsの攻撃は前四半期比で20%近い増となっています。

ネットワーク層DDoS攻撃のビットレート別分布の前四半期比の変化のグラフ

ネットワーク層DDoS攻撃<継続時間別>

ほとんどの攻撃は従来と同じく継続時間が1時間未満であり、自動化されたDDoS軽減ソリューションを常にオンにしておく必要性を改めて感じます。

当社では、攻撃が私たちのシステムによって最初に検出されたときと、特定のターゲットに向けた攻撃シグネチャを持つ最後のパケットを確認したときの差を記録することによって、攻撃の持続時間を測定しています。

以前のレポートでは、「1時間以内の攻撃」とそれ以上の時間範囲の内訳を示しました。しかし、多くの場合、90%以上の攻撃が1時間未満で終了しています。そこで、今回のレポートから、短時間の攻撃を分解し、より短い時間幅でグループ化することで、より粒度の高いレポートを提供するようにしました。

留意すべき重要な点は、たとえ数分間の攻撃であっても、それが成功すれば、その影響は最初の攻撃時間をはるかに超えて続く可能性があるということです。攻撃が成功した場合、対応するIT担当者はサービスの復旧に数時間から数日を費やすことがあります。

2022年第1四半期では、半数以上が10~20分、約40%が10分以内に終了、さらに5%が20~40分、残りが40分以上続いています。

2022年第1四半期におけるネットワーク層DDoS攻撃の期間別分布グラフ

短時間の攻撃は検出されない可能性があり、特に標的に対して数秒以内に大量のパケットやバイト、リクエストを送りつけるバースト攻撃は見逃されがちです。この場合、セキュリティ分析に基づく手作業の軽減措置に依存するDDoS攻撃対策では、攻撃への被害軽減措置がとても間に合いません。攻撃について事後の分析を通して学び、その攻撃固有のフィンガープリントでフィルタリングする新たなルールをデプロイして、次は検知できるよう願うしかありません。同様に、「オンデマンド」サービスを利用してセキュリティチームが攻撃中にDDoS対策サービスのプロバイダーへトラフィックをリダイレクトする場合も、オンデマンドDDoS対策のプロバイダーへトラフィックがルーティングされる前に攻撃が済んでしまうため非効率です。

これらの企業では、トラフィックを分析し、短時間の攻撃をブロックするのに十分な速さでリアルタイムのフィンガープリンティングを適用する、自動化された常時稼働型のDDoS攻撃対策サービスを使用することが推奨されます。

まとめ

Cloudflareのミッションは、より良いインターネットの構築を支援することです。より良いインターネットとは、たとえDDoS攻撃に直面しても、誰にとっても、より安全で、より速く、より信頼できるインターネットです。ミッションの一環として、2017年以降、すべてのお客様に定額制で無制限のDDoS攻撃対策を無償で提供しています。ここ数年、攻撃者がDDoS攻撃を仕掛けることはますます容易になってきています。しかし、このように簡単になったからこそ、あらゆる規模の組織があらゆる種類のDDoS攻撃から身を守ることもより簡単かつ無料でできるようにしたいと考えています。

まだCloudflareをお使いでない方は、当社のFreeまたはProプランを使用したWebサイトの保護を今すぐ始めるか、Magic Transitを使用したネットワーク全体の包括的なDDos攻撃対策に関してお問い合わせください。