今週、Cloudflareは創立記念日を迎えます。私たちがこの会社を創立したのは11年前の明日、2010年9月27日のことです。当社では創立1周年のとき以来、毎年記念日の週に革新的な新製品をローンチするのが伝統になりました。インターネットに対する当社の恩返しだと考えています。
株式を公開してからは、この日が創業者の周年記念のご挨拶をみなさまにお届けし、私たちの考えを共有する機会となっています。最近では、私たちは3つのことを考えています。チーム、インターネット、そしてイノベーションです。
チーム
Cloudflareの成功の鍵について尋ねられたら、いつも同じことを答えます。より良いインターネットの構築を支援するという使命の達成に力を貸そうと当社に集まってくれたチームです。昨年、当社の求人には25万人以上の応募があり、その中でオファーを出したのは0.5%未満でした。Cloudflareは今後もすばらしい人材を惹きつける会社でありたいと考えています。
Cloudflareの現在のチーム構成員の半数以上が2020年3月13日入社で、パンデミックのために物理的なオフィスをすべて閉めた時期以降に働き始めたという事実に気づき驚きました。Cloudflareではここ数か月、コロナ禍のトンネルの先にようやく光が見え始めた頃から、「Summer Socials」という名前のチームとの交流会を主催しています。一緒に屋外へ出かけてピクニック形式のランチをすることが多いのですが、以前はビデオ会議でしか会えなかったメンバーと実際に会えて楽しいです。テレビ番組「ゆかいなブレディー家」の冒頭のような画面上でなく、その枠から飛び出し、チームの垣根を越えて人々が知り合う光景を見るのはとても楽しいひとときです。
パンデミック前から在宅ワーク文化が浸透していた当社ではありますが、完全なリモートワークに切り替えたらどうなることかと恐れていました。このような新しい働き方の実験が否応なく始まってから18か月経ちますが、フルリモートワークが機能しているとご報告できることを嬉しく思います。本当に上手く機能しています。
結果的に、私たちがみな思っていたことが本当だったことがわかりました。企業文化は、楽しいオフィス、たくさんのスナック、調整可能な机などとはほとんど関係ありません。そういったものではなくて、Cloudflareでは、企業文化は常に好奇心旺盛で共感力のある人々を採用することから始まります。好奇心のある人には学びたいという気持ちがあり、共感力のある人は教えることが好きです。そのような人々を集めると、スタイリッシュなオフィス内かZoom上かにかかわらず、すばらしいことが起きるのです。
コロナ禍を経験することで、より良い働き方を構築するための機会に恵まれました。コロナ禍以前のようなやり方に戻ると主張するのは認識が甘いでしょう。当社では生産性が高まり、平均すると当社チームの仕事に対する満足度は、創業以来最高のレベルに達しています。一方、人々が実際に集まって難しい問題を解決したり、未来についてブレインストーミングしたり、会社を強くする関係性を構築するといったことにも、大いに価値があることを私たちは知っています。
未来の仕事がどのような形になるかについて、まだすべての答えを持っている訳ではありませんが、私たちは人々が現場に戻ってきた時に実験を開始できるように着手点について考えをまとめ始めています。みんなで集まって過ごす時間は、より良いコラボレーションや学び合いのために使いたいと思っています。同時に、働き方や働く場所に関してチームに柔軟性を与え、それぞれが最も生産的な仕事ができるようにしていければと思います。
インターネット
Cloudflareは、より良いインターネットの構築に貢献するというミッションを掲げています。「Internet」と書く時、当社では文頭の「I」はいつも大文字です。2016年以来、APスタイルガイドの記載内容には反していますが、インターネットは固有名詞で、1つしか存在せず、また1つであるべきだというのが当社の考えで、これが存在しているという奇跡に変わることのない敬意を抱いています。
ちょうどAPが「Internet」の「I」を大文字にする必要はないと言い始めた頃から、何かが変わったように感じます。インターネットとそれが可能にしたものについての世間の認識が、非の打ち所なく良いものから、大きな危険源へと変化したのです。
Cloudflareでも同じ変化をみてきました。2016年以降、インターネットに接続すると、サイバー攻撃、有害なソーシャルメディア、民主主義への脅威、二極化の進行、侮辱的な言葉づかいの悪化をもたらすだけだと感じることが増えました。
私たちの行く先にはまさしく難題が待ち受けています。インターネット上にあるいくつかのテクノロジーが、従来ゲートキーパーが立ちはだかって防いでくれた危害に対する対策を十分に講じないまま、ゲートキーパーを破壊してしまったためです。とはいえ、インターネットそのものは奇跡であり続けています。
Cloudflare創業のわずか11年前でも、長距離電話の料金はとても高く、別の国にいる誰かと写真を1枚共有するのに数週間かかり、ポケットの中の1つのデバイスから人智の総和にアクセスできるというアイデアは、サイエンスフィクションの世界でも予想しなかったことです。
過去18か月のパンデミックで、インターネットはやはり奇跡であるという自分たちの信念を再確認しました。パンデミックが11年前に起きていたら、どれほど酷い状況になったか想像してみてください。22年前なら言うまでもありません。インターネットのおかげで、多くの人たちが働き続けられ、愛する人々と交流でき、創造力を働かせ、世界とつながり続けることができました。
この時期により良いインターネットの構築に役立つという使命に沿って当社が行ってきたことを、誇りに思います。コロナ禍の収束後も、引き続き政策立案者と協力しながら、相互接続された世界が持ち込む新しい脅威に対処しつつ、奇跡の存在インターネットそのものを守り続けていきたいと考えています。
イノベーション
インターネットは静的にみえるかもしれませんが、違います。11年前、オンラインで動画を鑑賞することはフラストレーションの溜まるものでした。現在では、TVで再生を押せば、これまで作られた映画作品をどれでも瞬時に観ることができるのが当たり前のようになっています。これは、インターネットが静的ではないから可能なことで、イノベーションによりさらに改良されていきます。
Cloudflareでは、まさにそのイノベーションの媒介者となるべく最適化を進めています。原点は当社のミッション「より良いインターネットの構築を支援すること」にあります。この「支援する」という言葉が大切なのです。なぜなら、自分たちだけではできないことを私たちは知っているからです。ですから、インターネットエコシステム全体で他の方々と協力できるところは協力し、このミッションを推進し、インターネットをより良いものにするために尽力しています。
時々、Cloudflareが構築した製品について社外の人に驚かれることがあります。実は、当社のロードマップを予想するのはごく容易いことなのです。Webページの読み込み、メールの送信、動画のストリーミング、ワークステーションへのログイン、その他オンラインで行うあらゆる行為について、必要となるすべてのステップを検討し、それをより安全にできるか、より信頼性の高いものにできるか、より高速にできるか、と質問していくのです。
喜ばしいことに、インターネットがより良いものになっていくペースが加速しています。それに応じて、Cloudflareが革新的な新製品を発表できるペースも加速しています。インターネットが成長し、より多くの機能を獲得するにつれ、Cloudflareも共に成長を続けていくと信じています。Cloudflareへの投資は、根本的にはインターネットそのものへの投資だと感じています。
そして今週、Cloudflareはより良いインターネットの構築を支援するためにデザインされたすばらしい製品の数々を発表します。私たちは、これまでお客様を保護してこなかった最後のネットワークセキュリティリスクの1つに終止符を打つという新時代に突入しようとしています。その新時代に向けて、当社はコアクラウドサービスのコストを下げ、ネットワーク境界をお客様の入口まで広げ、現在私たちが知っているWebの創造的破壊にいつかつながるかもしれない新しいテクノロジーへの投資を行っています。
Cloudflareのチーム、お客様、投資家のみなさまに感謝申し上げます。Cloudflare11周年おめでとう!当社は勢いを増していますが、これからも「まだ始まったばかり」だという気持ちを持ち続けます。