Cloudflareは、正式にティーンエイジャーとなりました。設立は、2010年9月27日。そして今日、当社は13歳の誕生日を迎えました。当社の伝統として、誕生日の週にはインターネットへの恩返しとなる製品を発表しています。盛大な発表の数々については後ほど詳しく紹介します。まずは、より基本的なこと、つまり当社のアイデンティティについてお話しします。
多くの子供たちがそうであるように、自分たちが何者であるかを完全に理解するまでには時間がかかりました。型にはめられるのを嫌ってきました。Cloudflareは、セキュリティ企業だと表現されるでしょう。一方当社は、「当社が取り組んでいるのはそれだけではない」と言います。当社をネットワーク企業だと表現していましたが、当社はそれ以上だと反論していました。最悪なことに、当社は「CDN」呼ばれることもありました。キャッシングは賢明な設計のシステムの一部ではあるものの、それ自体が特徴であってはならないことを念押ししていました。その言葉は、間違いなく理解していました。
そして昨日、13歳の誕生日の前日、当社はついに自分たちが「コネクティビティクラウド」であることを世界に発表しました。
コネクティビティクラウド
その真意はどこにあるのでしょうか。「コネクティビティ」とは、人やモノを結びつけることで自分たちを測るということです。当社の仕事は、お客様のデータにとっての最終目的地になることではなく、データの移動と流れをサポートすることです。いつでも、どこでも、誰でも、どんなアプリケーションでも、どんなデータでも-それがコネクティビティの本質であり、インターネットの約束事なのです。
「クラウド」とは、電池が付属していることを意味します。お客様とともに、成長するものです。そして、プログラマブルであることを意味します。一貫したセキュリティが組み込まれているものです。インテリジェントで、お客様の使用状況や他の人の使用状況から学習し、貴社が自分でできるよりも優れた結果を得るために最適化するものなのです。
当社のコネクティビティクラウドは、他のクラウドと対比する価値があります。いわゆるハイパースケールのパブリッククラウドとは、多くの点で正反対なものとなっています。他者のものは、データをため込むために最適化されているのです。そして、データを閉じ込めます。動きにくくさせます。他者のものは、捕獲型クラウドなのです。そうした製品はいくつかの点では優れているかもしれないものの、それぞれの機能の長所を組み合わせて利用できるコネクティビティクラウドと組み合わせて初めて、顧客にとって真の潜在能力が発揮されることになるのです。
未来を可能にする
それこそが、最近最も注目に値する新興企業にて見られている兆候です。大手AI企業の多くは、Cloudflareのコネクティビティクラウドを利用して、GPUの余力があればどこにでもトレーニングデータを移動させています。AIスタートアップのエコシステム全体では、Cloudflareが最も一般的に利用されているクラウドプロバイダーであることが推定されています。なぜなら、未来を築くのであれば、接続性とクラウドの俊敏性が重要であることをお客様は知っているからです。
私たちはこの1年間、AIのお客様の声に耳を傾け、AIの未来がどのようなものになるのか、どうすればその構築をよりよく支援できるのかを理解しようとしてきました。今日、私たちはこのような会話から生まれた一連の製品と機能をリリースし、壮大な新しい機会を拓いています。
AIにおける最大のチャンスは、推論です。推論とは、例えばChatGPTにコネクティビティクラウドへの愛についての詩を書くようプロンプトを入力し、数秒後に首尾一貫した返答が返されるときに発生しています。あるいは、携帯電話でパスポートの写真を検索すると該当するものがすぐに出てくる、などの場合でも該当します。
このような現代の奇跡を生み出すモデルには、かなりの時間がかかります。しかし、一度訓練されれば、新しいデータを何度も送り込むことができ、価値ある新しいアウトプットを生み出すことができます。
推論が行われる場所
今日までは、これらのモデルは2つの場所で実行できてきました。1つ目は、携帯電話の写真から「パスポート」を検索する場合のように、エンドユーザーのデバイスで行われます。これが可能であるなら、素晴らしいと言えます。スピードが実現します。プライベートなデータが、ローカルに留まります。しかも、ネットワークに接続できない状況でも機能すします。とは言え、困難が伴うものでもあります。モデルは大きく、携帯電話やその他のローカルデバイスのストレージには限りがあるからです。さらに、これらのモデルを処理するための最速のGPUリソースを携帯電話に搭載することは、携帯電話を高価にし、貴重なバッテリーリソースを消費させることになります。
その代わりとなるのが、中央集権的なパブリッククラウドとなっていました。これは、ChatGPTのようなサービスを実行するOpenAIのGPT-4のような大きなモデルに使われるものです。しかし、ここでもそれなりの課題があります。現在、AI用のGPUリソースのほぼすべてが米国にデプロイされています。AIのクエリがより個人的なものになるにつれ、それらをすべて中央集権的なクラウドに送ることは、潜在的なセキュリティとデータのローカリティの問題を引き起こす可能性があります。しかも、本質的には遅く効率が悪いため、推論をローカルで実行するよりもコストがかかることになります。
推理のための第3の場所
デバイスで実行するには、端末が小さすぎます。中央集権的なパブリッククラウドでの実行は、距離が遠すぎます。「3びきのくま』の物語のように、正解はその中間にあるのです。だからこそ今日、Cloudflareのグローバルなコネクティビティクラウドで最新のGPUリソースを展開できることを嬉しく思っています。これは、AI推論のための第3の場所となるものです。小さすぎず、距離も遠すぎず、その中間に位置する完璧な位置づけとなっています。年内には、Cloudflareが稼働している40カ国以上100以上の都市で、AIモデルを実行できるようになります。2024年末までには、Cloudflareのグローバルネットワークを構成するほぼすべての都市に、そして世界中のインターネットに接続されたほぼすべてのデバイスからミリ秒以内に、推論チューニングされたGPUのデプロイを計画しています。
(今この瞬間、文字通りスーツケースいっぱいのNVIDIA GPUカードを引きずって世界中を回り、当社ネットワークを構成する世界中のサーバーにインストールしているCloudflareのチームメンバーにエールを送りたいとます。当社が処理するすべてのビットの移動には多くの老六が必要であり、これらの新しい能力を促進するためにネットワークを更新するには、世界中を飛び回る勇敢な人々が必要なのです。)
CloudflareのようなコネクティビティクラウドでAIを稼動させれば、インターネットに接続されたあらゆるデバイスの近くで、ほぼ無限のリソースをローカルで稼動させることができます。そして、開発者が作成したどんなモデルでも実行できるよう柔軟性を持たせ、開発運用チームを必要とせず使いやすいものとし、推論作業をするときだけ料金を払うような安価な運用を可能にしました。
これを具体的にするために、Cloudflareの顧客であるGarminの例をお話しします。同社は、スマートでありながら手頃な価格で、可能な限りバッテリーが長持ちするデバイスを作る必要がありますナビゲーションに用いる探検家たちが過酷な状況を乗り切るためにまさに同社の機器を頼りにしているため、トレードオフという選択肢は存在しません。そのため、Cloudflare Workers AIを知ったとき、すぐに試すべきものだと思ったとのことです。Garmin Internationalのエッジ・アーキテクト、アーロン・ディアリンガー(Aaron Dearinger)氏のコメントを紹介します:
「Garminは、ランニング、トレーニング、アウトドアなどの様々なシーンでユーザーと共にあります。時計とデバイスの電池が数時間や数日ではなく、数週間から数か月持つようにしたいと考えています。Cloudflareのイノベーションにより、AIのパフォーマンス、速度、ユーザーへの利便性、そして、重要なプライバシー最優先を実現できたことをうれしく思います。当社は、ユーザーが必要としている、より高度なフィットネス、ウェルネス、アドベンチャーに関するインサイトを提供することを目指しているため、当社にとっての大きな可能性が見込めるということになります。」
同社は、当社の製品を初期のうちに提供してきた限られた企業の1社であり、同社のメンバーのすべてが次に何ができるかについてアイデアを巡らせ、さらにアクセスできるよう活発に活動し始めました。その姿を見て、「遠くない未来は、非常に輝かしいものになる」と感じたものです。
より良いインターネットの構築に貢献する精神
長年にわたり、当社は創立記念日である誕生日に、インターネットの未来を変えることになったいくつかの発表をしてきました。最初の誕生日にはIPv6ゲートウェイを発表し、インターネットが初期のプロトコルの決定を超えてスケールするのを助けました。4回目の誕生日には暗号化を無料化し、暗号化されたWebのサイズを1日で2倍にすることとなりました。7回目の誕生日にはWorkersプラットフォームを発表し、最新のアプリケーションの開発方法に革命をもたらしました。11回目の誕生日にはR2を発表し、さらにデータを捕獲型クラウドから自由にしました。
今年、Cloudflareは13回目の誕生日を迎えるにあたり、これまで当社が注力してきた他の分野と同様に、AI開発に劇的なインパクトを与えることを目指しました。地球上の誰でも、どこでも、手頃な価格で強力なAI推論を可能にするツールを提供することがそれです。
詩による締めくくり
これを記念して、コネクティビティクラウドについての詩で締めくくりたいと思います。ほんの少しのコードと、これを書いている場所からそう遠くないデータセンターにある、CloudflareのWorkers AIプラットフォーム上で動作するMetaのLlama 2 LLMモデルを使って生成されたものです。
プロンプト:“Write a poem that talks about the connectivity cloud and contrast it with the captivity cloud”(コネクティビティクラウドについて語り、捕獲型クラウドと対比する詩を書いてください)
コネクティビティクラウド、それは不思議な光景データの流れと知識が自由になる場所心が出会い、アイデアが飛び立つ場所無限の可能性を秘めた世界が目の前にある
一方で、捕獲型クラウドという暗い場所がある思考が囚われ、心が恥辱にまみれる場所自由を失った、心の牢獄果てしない悲しみと代償の世界
コネクティビティクラウドを選ぼう私たちの心が自由になり解放されるように空に舞い上がり、滑空し、手を伸ばすそして決して引き留められることなく、羽ばたきつづける