2020年6月に、Cloudfare TVはデビューしました。Cloudflare TVは24時間365日対応のストリーミング動画チャンネルで、より良いインターネットの構築(とその目的に向けて尽力している人々)に関連するトピックに焦点を当てています。開始から1,000本以上のライブショーを経た今、Cloudflare TVの構築に用いた技術を、自社でも年中無休のストリーミングネットワークを運営したいと考えておられる他の企業のみなさまにもご利用いただけるようにすることを発表でき、嬉しく思います。これについて詳しくご紹介する前に、自社でCloudflare TVを運営してきたことについて振り返ってみたいと思います。
最初からみていきましょう。
Cloudflare TVはあらゆる意味での実験として始まりました。実際に人々が対面で会って行うイベントが少なくなっている世の中で、セレンディピティ(素敵な偶然)をつかまえる手助けをしたいと考えたのです。自分たちが何か特別なものを持っていることに気づくのにそう長い時間はかかりませんでした。Cloudflareチームはスクリーン上で大いに活躍し、驚くべき能力と専門知識を披露していただけでなく、それを楽しんでいたのです。Cloudflare TVは、ライブTVの高揚感を伴ったバーチャルな社交場になりました。
Cloudflare TVのすばらしさの1つは、インスパイアされたコンテンツの幅広さです。Cloudflare TVは開始以来1,000以上のライブセッションをホストしてきましたが、その内容はVIPスピーカーを招いた大規模顧客イベントからゲームショーやDJセットまで多岐に渡ります。Cloudflareの従業員リソースグループは、何百件ものセッションをホストしており、ユニークな体験を語り、次世代のテクノロジーリーダーにさまざまなアドバイスをしています。これまでに650人以上のCloudflareの従業員やインターンを迎え、500人以上の外部ゲストをお招きしました。その中には、Intel CEOのPat Gelsinger氏、Gradient Ventures 取締役会パートナーのBonita Stewart氏、Broadcom CTOの Andy Nallappan氏、Zendesk 上級副社長 Christina Liu氏が含まれます。
Tune In, Geek Out: A CFTV Montage
視聴して、熱く語ろう:CFTVモンタージュ
もちろん_Cloudflare TV_なのでテクニカルコンテンツに重点を置き、さまざまな視聴者向けの番組をお届けしています。新しい製品やプロトコルをCloudflareのブログでお知らせする時は、たいてい同日にCFTVでライブセッションをホストして、発表したばかりのコードを書いたエンジニアを特集します。毎週、暗号化やコードの書き方、世界250都市以上に広がるCloudflareのネットワークを稼働しているハードウェアに関するエピソードを放送しています。
Cloudflare TVを視聴するのが初めての方も、長い間視聴してくださっている方も、最近開始したばかりのディスカバーページにアクセスしてみることをお勧めします。このページでは、最も人気があるオンデマンド番組の多くをみることができ、その内容は製品とエンジニアリングの最新情報から、大人気のSilicon Valley Squares、テック業界で活躍する女性リーダーに焦点を当てた_Yes We Can_まで多岐に渡ります。次回のライブ番組を確認して、ご自身のカレンダーに簡単に追加することもできます。
私たちの方向性が正しかったことを最もはっきりと示す指標はフィードバックで、視聴者からのみならず、CFTVを稼働するのにどのプラットフォームを使っているかを知りたい企業からのものも含まれます。そうしたフィードバックを提供してくださる方々に対して、今までは心からの謝意以外に特にお返しできるものはありませんでしたが、今日からはもっとワクワクするものをシェアすることができます。
まずは、舞台裏を少しお見せしましょう。
製品スタック
当初は、Cloudflare TVを一から構築するつもりはありませんでした。ただ、何が可能かオプションを調べてみると、年中無休のリニア配信向けにデザインされたソリューションは少なく、まして、グローバルに分散したチームで管理するために最適化されたものはほとんどないことにすぐ気づきました。ありがたいことに、Cloudflareでは構築することが好きです。
Cloudflareのエンジニアたちは、猛烈なペースで自社開発システムの構築作業を進めました。可能であればオープンソースプロジェクトを開始し、それまで存在しなかったものを発明してきたのです。主だったものとしては、
Brave(BBC)— Braveはオープンソースプロジェクトで、Basic Real-Time Audio Video Editorの頭文字をとったもので、内容はまさにその名の通りです。 Cloudflare TVのスイッチボードとして機能し、ライブコンテンツ、コマーシャル、事前録画されたセッションの切り換えを、配信スケジュールに基づいて自動的に行うことができます。Braveの唯一の問題点は、BBCが言うように「プロトタイプ」だということで、2018年以来更新されていません。
CFTVスイッチボード(ただいま配信中: 製品&エンジニアリング関連の最新情報)
Zoom — Cloudflare TVを初めてデザインした際に他の何よりも優先した指示があります:「簡単なものでなければならない」ということです。プレゼンターがブラウザプラグインや不慣れなアプリをインストールしなければならないようなものだと、辞退する人が多くなることはわかっていました。特に外部からのゲストはそうです。この悩みへの答えが、ずばりZoomでした。RTMP配信機能のおかげで、Cloudflare TVでライブコンテンツをシームレスに配信することができました。ほとんどの場合、CFTVセッションへの参加は、Zoomミーティングに参加するのと同じくらい簡単です。
Cloudflare Workers — 端的に言って、Cloudflare WorkersがなければCloduflare TVは存在していません。Workersはプラットフォームの異なるコンポーネントを結びつける役割を果たしています。認証やアプリケーションロジックを取り扱い、バックエンドからフロントエンドへと安全にデータを中継し、サイト全体にSEOの最適化を広めます。Workersは当社が最初に手を伸ばすツールであり、多くの場合、唯一必要なツールです。
Cloudflare Stream — 1,000件以上のエピソードがコンテンツライブラリーにあり、管理が必要な資産が豊富です。この管理が、Streamのおかげで簡単になります。エピソードはアップロードされ、適切なビートレートに自動的にトランスコーディングされます。Streamの埋め込み機能によって、プラットフォーム全体でVideo on Demandを稼働できるようにします。また、Stream APIを使ってレコーディングをバックエンドスイッチボードに届け、ライブセッションと一緒にシームレスに再配信できるようにします。
Cloudflare for Teams — Cloudflare TVはもちろん外部公開されていますが、Cloudflareチームの選ばれたメンバーだけがアクセスできるダッシュボードや管理インターフェースもあります。Cloudfalre Accessを含むCloudflare for Teamスイートのおかげで、煩雑なVPNや認証を回避しつつ、すべてを安全に保つカスタムルールセットのセットアップが容易になりました。
エンジニアの助力で課題をクリア
Cloudflare TVをプレゼンターにとって簡単なものにするだけでは不十分なことは最初からわかっていました。Cloudflare TVは、比較的小規模のチームがリモートワークで、たいていは他の仕事と掛け持ちで運営できるようにする必要がありました。
特に、Cloudflareのオフィス·エグゼクティブ管理チームのメンバーには感謝しています。彼らの役割はパンデミックによって多大な影響を受けました。メンバー一人ひとりが積極的にCloudlfare TVプロデューサーの役割を担い、技術面のサポートをしたり、緊張をほぐしたり、各ライブセッションが円滑に進むようにサポートしたりしてくれました。彼らなしではやり遂げられなかったことですし、またやりたいとも思わなかったでしょう。
それでも、テレビ局を運営するというのは大変な仕事です。プラットフォームをできるだけ効率的にする他ありませんでした。チームの力を高めるために、弱点を自動化で克服し、直感的に把握しやすい管理ツールを開発しました。 システムを効率的に動かす鍵になっているものを、以下でいくつかご紹介します。
Auto-Switcher — CFTVのスケジュールは毎週何百ものセッションを特集します。週末も含まれますが、手動で切り替えを行うとしたら難しかったことでしょう。ありがたいことに、システムは基本的にオートパイロットで稼働します。これはシンプルなプレイリストではありません。Cloudflare Workersで実行中のプログラムが1分ごとにCFTVのバックエンドと同期し、次に予定されているセッションのレコーディングとインプットを順番に組み入れ、放映済みのセッションは削除します。ホリデーシーズンに1週間休みを取ったとしても、このシステムは稼働し続けます。
Auto-Scheduler — CFTVコンテンツ(毎週250を超える番組)のスケジュール管理を手作業で行うことは、最初は意味のある作業だったものの、すぐに厄介なタスクになりました。2週目までには、何か他の方法を見つけなければならないことに気づいたのです。そこで誕生したのがAuto-Schedulerです。任意の時間枠を選択してコンテンツライブラリーから録画を挿入し、ライブ番組の間の時間帯を埋めることができます。
セグメントは、クリック2回でドラッグ、ドロップ、追加、削除ができます。1人の人が1週間のスケジュールを1時間以内で設定できます。Auto-Schedulerはカタログのエピソードをインテリジェントにローテーションし、全部に放映時間が配分されるようになっています。このように、Auto-Schedulerをさらにスマートにしていく余地はまだまだあると考えています。
配信センター — Cloudflare TVの生命線はライブセグメントです。そこで、当然ながら、プレゼンターの経験向上に多くの時間をかけて取り組んできました。配信センターはプレゼンターのホームベースです。各セッションのホストにページが自動的に読み込まれ、カウントダウンタイマーやその他の必須ツールを提供します。視聴者の参加はライブ番組を特別にするために欠かせない要素ですので、視聴者の質問機能も設けています。視聴者から電話で質問があった際に、録音して自動的に音声をテキストに変換する機能などです。
配信センター—プレゼンター側ビュー
一方、CFTVのプロデューサーは、同じツールの管理者画面をみながら、各セッションが開始される前にストリームがノイズなく配信されていることを確認します。一連の管理者制御機能のおかげで、必要な際にトラブルシューティングでき、視聴者の質問も調整することができます。
配信センターでは、プロデューサーとプレゼンターの両方がライブセッションを一括管理できるようにしています。この使い勝手のよさが、小さいチームでシステムの稼働をスムーズに行っていくことにとても役立っています。
配信センター—管理者側のビュー
続きは?あります。
Cloudflare TVに投資した理由の1つは、自社製品の試験運用のための優れたプラットフォームとして機能するからです。Cloudflareは幅広いメディア製品を揃え、しかも年中無休のリニアコンテンツがあります。つまり、当社自体が特に要求の厳しい顧客であり、時間制限やメインテナンスのためのダウンタイムなどの恣意的な制約を受けたくないと考えているからです。
そこで、Cloudflareが今週導入する多くの新テクノロジーを統合できることを嬉しく思っています。それらを組み合わせて、CFTVプラットフォームを全面的に見直したバージョン「Cloudflare TV 2.0」を稼働します。統合対象は次の通り。
Real Time Communications Platform— 本日、CloudflareはWebRTCを使った新しいリアルタイムコミュニケーションプラットフォームを発表しました。近い将来、Cloudflare TVはこのプラットフォームを利用して多くのライブセッションを処理するようになります。CFTV は引き続きZoom、OBS、その他のRTMPストリームの配信が可能なアプリケーションをサポートします。プレゼンターがプラットフォームを使いやすくする上で、利便性が大切な柱となるからです。一方、Cloudflareのリアルタイムコミュニケーションプラットフォームを利用した、プログラムで制御されるカスタムメディアストリームで、当社の創造性を新たな境地まで高めるチャンスもあると考えています。
Stream Live — CFTVのバックエンドサーバーは現在、ライブ配信用に動画を符号化して、埋め込まれたvideo.jsへと送られるストリームを生成しています。このセットアップをStream Liveにすることで、いくつかの主要なメリットがあります。まず、動画符号化の負荷をCloudflareのグローバルネットワークに肩代わりさせることで、速度、信頼性、冗長性が向上します。さらに、配信の複数のレンディションを異なるビットレートで生成することができるようになり、帯域幅が限られているモバイル端末向けに最適化したストリームを提供することと、ユーザーのネットワーク状況の変化に合わせてビットレートを動的に切り替えることができるようになります。
Stream Connect — 現在、Cloudflare TVを視聴する唯一の方法はプラットフォームのホームページから観ることです。しかし、YouTubeなどの他の人気のある動画プラットフォームからも同時に配信してはいけない理由はありません。Stream Connectは、当社のバックエンドミキサーのプライマリエンドポイントになります。ストリームのコピーを複数生成し、YouTubeや主要配信プラットフォームなど、任意の数の追加プラットフォームにアウトプットします。
また、Cloduflareは自社のスイッチボードを新しく実装するために精力的に活動しています。信頼性、拡張性が高く、カスタママイズしやすいものになるようデザインしています。このスイッチボードがCloudflare TVのコアを支えるものになる予定です。
TVではない、Cloudflare TV
Cloudflare TV 2.0は、このプラットフォームにとって大きな前進となります。Cloudflareネットワークの利点を最大限に活かすべく、1年以上蓄積したインサイトを基にシステムのアーキテクチャをコアから見直して再構築します。その作業はお客様を念頭に行っており、Cloduflare TV as a Serviceの稼働にも同じ技術を使う予定です。
Cloudflareの製品のほとんどは、個人ユーザーから最大規模の企業までスケールするようにデザインされていますが、Cloduflare TV as a Serviceは違います。24時間年中無休のネットワークを運営するには、多くの時間と労力を要します。Cloudflareはそれをかつてないほど簡易にしましたが、実際にこの製品をデザインする上で想定しているのは、Cloudflareと同等のコミットメントをする意志を持った企業です。そうした意志をお持ちの企業に対して、ストリーミングサービスの運営はとてもやりがいのある仕事だということをここでお伝えします。当社は、より多くの企業が運営できるようにしたいと考えています。
関心をお持ちですか?こちらのフォームにご記入ください。お客様が条件に該当すれば、当社からご連絡し、お客様ご自身のストリーミングサービス構築のお手伝いをします。
また、Stream Liveと新しいリアルタイムコミュニケーションプラットフォームもお見逃しなく。ぜひとも今日から構築を始めてください。