Cloudflareではこの12年間で初めて、料金の引き上げを決めました。2023年1月15日より、現行で20ドル/月のProプランの新規ご契約料金を25ドル、現行で200ドル/月のBusinessプランの新規ご契約料金を250ドルに各々改定いたします。過去12年間のいずれかの時点で有料プランをご契約いただいたお客様、また、2023年1月15日までに新規でご契約いただいたお客様には、2023年5月14日まで、従来の料金が適用されます。
また、これまで、お支払い方法は月払いのみでしたが、今後、年払いが導入されます。多くのお客様に新しい年払いプランをご利用いただければと思います。年払いプランは本日より利用開始で改定後の料金に割引が適用された金額となります。Proプランは240ドル/年(月額では20ドル、年間で60ドル削減)、Businessプランは2400ドル/年(月額では200ドル、年間で600ドル削減)に設定されています。つまり、お支払い方法として年払いをお選びになると、改定前の料金でご利用いただけます。
Cloudflareはこれまでの歴史の中で、料金の引き上げを行ってきませんでした。そのため、今回の料金改定については慎重に検討を重ねてきました。Cloudflareがネットワークの拡張と革新に取り組み始めてから十余年。今回の改定が増収を目的としたものではないということを皆様にご理解いただければと思います。Cloudflare独自のネットワーク構築には、投資が不可欠です。また、今回の料金改定に踏み切る主な理由は、Cloudflareの事業と、根底となる費用のタイミングとをより綿密に計画することにあります。こうした計画を着実に遂行することで、Cloudflareのネットワークの拡張と革新のペースをさらに速めることにつながり、その利益がCloudflareをご利用いただいている皆様へ還元されます。今回の料金改定はCloudflareにとって大きな変化となることから、本ブログ記事でこの決断に至った経緯をご報告したいと思います。
Cloudflareの沿革
Cloudflareは2010年9月27日に設立されました。設立当時、Cloudflareでは無料のFreeプランと、20ドル/月のProプランの2つのプランを設定していました。当時のネットワークはイリノイ州シカゴ、バージニア州アッシュバーン、カリフォルニア州サンノゼ、オランダのアムステルダム、日本の東京を拠点とする「4と1/2」か所のデータセンターで成り立っていました。ここで「4と1/2」というのは東京へのルーティングが弱く、世界の他の地域へのルーティングに影響が及ばないように東京のデータセンターを1日の半分停止していたためです。設立から2年ほど、FreeとProプランの最大の違いは、HTTPSサポートの有無のみでした。
Slide from the Cloudflare Launch Presentation at TechCrunch Disrupt, September 27, 2010
2012年6月には200ドル/月のBusinessプランと、最大規模のお客様向けにカスタマイズされた、Enterpriseプランを開始しました。その頃までには東京データセンターの安定稼働以外にも、さらに18か所のデータセンターを加え、世界で合計23か所への拡大を完了しました。また、Businessプランに主な機能としてDDoS攻撃への緩和機能が付け加えられました。これは、それまで導入に慎重になっていた機能です。
Cloudflare’s Network as of June 16, 2012, courtesy of The Internet Archive’s Wayback Machine
その後の成長
ここで時間を現在へと早送りしましょう。これまでに多くのことが変化しました。現在では、世界中100か国、275都市に拠点を拡大しています。2014年9月のユニバーサルSSLの導入からFreeプランでもHTTPSをサポートするようになりました。2017年9月に、従量制DDoS軽減機能を開始してから、Freeプランにも無制限のDDoS軽減機能が組み込まれました。今日、Freeプランをご利用のお客様向けに阻止している攻撃の規模は、日次ベースで、2013年のヘッドラインニュースに登場した攻撃規模の10倍を超えています。
Cloudflareでは常時、独自の戦略として、新機能導入の際に、有料プランのお客様にご利用を限定してきました。その後、時間の経過とともに他のプランへも拡大し、最終的にFreeプランのお客様へもサービスの枠を広げています。Cloudflareでは、利用者の予算に関係なく、だれもが高速で信頼できる安全なオンライン環境を利用できるべきであると考えます。そして、Cloudflareの途切れない成功は、収益のために古い機能を売りつけることでではなく、新しい革新によって実現されるべきだと考えます。
そして、プラットフォーム全体で新機能の導入を促進し、価格に転嫁することなく既存のプランに新機能を組み込むことで、この考えを実現してきました。現在、Free、Pro、Businessの各プランでご利用いただける機能やサービスは、これらのプランが開始された当時に比べ、パフォーマンス、信頼性、セキュリティなどのあらゆる側面で、はるかに大きな価値を持っています。
また、私たちは、Cloudflareのサービスがお客様にとってなくてはならないインフラであることを認識しています。Cloudflareはお客様の信頼のうえに成り立っています。だからこそ、料金改定には慎重で、より多くの収益を得るためだけの料金の引き上げは避けてきました。
年間プランで革新を迅速に
設立当時、月払いのみだったことには理由があります。設立間もない実績のないサービスにお金を支払うことは、お客様にリスクを負っていただくことになることを理解していたからです。しかし、それはもう過去のことです。お客様の多くはCloudflareのサービスを長年利用され、お客様とのやり取りの中から、今後も変わらずCloudflareをご利用いただけることが感じられます。実際に、毎月請求書を受け取るのではなく、支払いを年に一度にしたいというリクエストも多数届いており、その数はリクエスト全体の上位を占めています。
Cloudflareがこれまでに実現してきた革新のペースには誇りを持っていますが、投資をできるだけ迅速に進めるための資金繰りは、会社にとって課題の1つでもあります。Cloudflareではネットワークの構築や新機能の開発に先行投資していますが、お客様からご利用料金としていただくのは、月に一度です。もともと、それが革新のペースを左右しています。投資のスピードを上げることができます。すなわち、より多くのエンジニアを雇い、より多くのサーバーを展開できます。来年もCloudflareのサービスをご利用のお客様には、先行投資と捉えていただけます。お客様にご期待いただいている機能やサービスを構築するうえで、リソースに不足はありません。ただ、年払いで収益を早期に得ることで、より迅速な革新を実現できるのです。
つまり、これまでお支払い総額を上げることなく、資金を有効活用するための変更と位置付けています。それよりも、多くのお客様に年間プランへ移行していただくことで、これまでの料金はそのままで、ネットワークの拡大と革新のペースを上げられるというメリットが生まれます。
最後にもう一つ。変わらないものについてもお話しさせてください。Freeプランです。このプランは無料のままです。現在ご利用いただいている機能に変更はありません。そのうえ、これまでどおり、現時点では有料プランでのみ利用可能な機能を、将来的にFreeプランでもご利用いただけるようにするという姿勢は変わりません。Cloudflareの使命は、より良いインターネットの構築を支援することです。世界で最も革新的な企業となることで、トップを目指します。そのためには、できるだけ多くの、今はそのサービスをご利用になることが難しい方を含め、できるだけ多くのお客様にサービスをご提供します。
現在有料プランをご利用いただいているお客様には、改めてお礼を申し上げます。有料プランのお客様は、これまでのCloudflareの革新に投資してくださいました。そして、今後は年払いへ切り替えることで、Cloudflareのネットワークの拡張と革新のスピードアップをさらにご支援いただけることを願っています。