年月の経過と共にインターネットトラフィックは増加し続けています(少なくとも今まではそうで、パンデミックも「追い風」になっています)。インターネットアプリケーションは、Webサイト、IoTデバイスアプリ、モバイルアプリを問わず、人間にとって魅力的かどうかを基準に一年を通して進化し続けています。
インターネットトラフィックを広く振り返る「Year in Review 2021」が数日中に閲覧可能になります(2020年版はこちら)が、ここではCloudflare Radarのデータに基づいて今年最も人気が高かったドメインに絞ってお話しましょう。Alexa.comが廃止される予定ですが、ドメインのランキング情報はCloudflareで入手できます。
宇宙関連(NASAとSpaceXが好調)、eコマース(AmazonとTaobaoが優勢)、ソーシャルメディア(TikTokがFacebookを凌駕)に焦点を当てます。動画ストリーミング戦争にも少し触れます。Netflixは、自社が配信するオリジナルシリーズ「イカゲーム」(生き残りを掛けたデスゲーム)さながらの競争を勝ち抜き、2021年1月にランキング1位となりました。おそらくロックダウンなどパンデミック関連の要因によると思われます。
チャットドメイン(WhatsApp他)もありますし、もちろん、ある種のメタバースドメイン(終盤でRobloxがFortnightから首位を奪取)も後発ながらあります。一緒に2021年を振り返ってみましょう。
以下では、Cloudflareの視点から特定のドメイン(多数のWebサイトを集約したものもあります)に焦点を当てて、インターネットトラフィックと、それらドメインの総合人気ランキングの推移を見ていきます。
上位サイト:Googleが後発のTikTokにトップの座を奪われる
まずはドメインランキング上位を見てきましょう。2021年は、総合ランキングナンバーワンの地位を巡って興味深い戦いがありました。Google.com(Maps、Translate、Photos、Flights、Books、Newsなどを含む)は、昨年は9月から12月まで首位を譲らず、負け知らずの王者として2020年を締めくくりました。当事、TikTok.comは7位か8位がやっとでした。
トップ10 — 2021年(後期)の人気ドメイン上位
1 TikTok.com2 Google.com3 Facebook.com4 Microsoft.com5 Apple.com6 Amazon.com7 Netflix.com8 YouTube.com9 Twitter.com10 WhatsApp.com
トップ10 — 2020年(後期)の人気ドメイン上位
1 Google.com2 Facebook.com3 Microsoft.com4 Apple.com5 Netflix.com*6 Amazon.com7 TikTok.com8 YouTube.com9 Instagram.com *10 Twitter.com
Amazonは11月は5位でしたが、2020年12月にNetflixに追い越されました(NetflixはAppleよりも高い4位になった日もありました)。InstagramとTwitterの順位は、11月から12月にかけて激しく入れ替わりました。
2021年は様相が異なります。TikTokは、2月に1日だけ首位を獲得しました。それが3月と5月には数日になり、8月10日以降は多くの日でTikTokが首位でした。Googleが1位だった日も数日ありましたが、10月と11月は感謝祭(11月25日)とブラックフライデー(11月26日)を含め、TikTokが首位をほぼキープしました。
2020年と2021年を比較すると、他のトレンドも見えてきます(2020年はCloudflare Radarがローンチされた9月から年末までのデータしかありませんが)。たとえば、Facebookは2020年を通して2位を堅持しましたが、TikTok.comの追い上げにより、現在は3位で安定しています。Microsoft.com(Office365とTeamsの数字も含んでいます)とApple.com(App StoreとApple TV+の数字も含んでいます)がそれに続くというトレンドは、2020年と同じです。
その次がAmazon.comですが、2021年1月以降にこのeコマースWebサイトの猛者がApple.comを追い越したのは興味深い動向です(eコマースのカテゴリーについては後段で詳しく述べます)。結局は9月以降にAppleが巻き返し、サイバーマンデーの前日の11月28日と12月1日、12月6日を除いて、Amazon.comを抑えました。
クリスマスタイムはNetflixタイム
Netflixにとって2020年のクリスマスは素晴らしいものとなりましたが、好調は2021年の1月まで続きました(特に週末)。
もう一つのトレンドは、2020年12月(特にクリスマスの週)にNetflixがAmazonを追い越したことです。2020年のクリスマス前後は、NetflixがAppleをも追い越して4位を獲得した日もありました (12月23日、同25日、同29日から2021年1月2日にかけて)。
2021年2月2日:YouTube(とエアロビインストラクター)が世界を席巻
当社データに基づく総合人気ランキングでは、トレンドがもう一つ見られました。通常は6位か7位のYouTubeが、2021年2月2日に1日だけトップの座を奪ったのです。
フィットネスインストラクターが投稿したこの動画は、たまたまミャンマーのクーデターが起こった時に撮影されたもので、2021年2月2日に急速拡散して、数千ものミーム(拡散ネタ)が作られることになりました。
なぜそうなったのかは、想像するしかありません。その週はスーパーボウルが開催され、試合当日はマシュー・マコノヒー主演のDoritosのコマーシャルなどいくつかのコマーシャルの放映が開始されましたが、もう一つニュースに値する大事件があったのです。 2月1日に起こったミャンマーのクーデターでした。東南アジアの国で起こったクーデターがYouTubeにどう影響したのでしょうか。撮影の際にフィットネスインストラクターの背景にたまたまクーデターの進行が写り込んだこの動画はインターネットを席巻し、ミーム(拡散ネタ)が続々と投稿されて、たちまち人気動画となったのです。
2月2日はドナルド・トランプが、辞めた弾劾裁判担当弁護士チームに代わる新チームを発表し、ジェフ・ベゾスがAmazonのCEOを辞めると発表した日でもあります。そしてその次の週に、YouTubeは新たな記録を樹立します。2021年2月11日、韓国の教育ブランドPinkfongの動画「ベイビーシャークダンス」が、それまでの記録保持者ルイス・フォンシの「デスパシート」を抜いて、史上最も視聴回数の多いYouTube動画となったのです。
Google Trendsでも、2月2日は2021年で「YouTube」の検索が最も多かった日でした。
ソーシャルメディア:新参アプリ
パンデミック2年目となった2021年は、ソーシャルメディアドメインが引き続き上位にランキングされました。人気グローバルドメインランキングでは、9つの有名なソーシャルメディアアプリのすべてがトップ100入りし、圏外だったのはQuora.com(2021年のランキングでは最高242位、最低687位)だけでした。
前述したようにGoogleを抜いて世界第1位となったTikTokは、最も人気のあるソーシャルメディアWebサイト・ドメインのランキングでもFacebookから首位を奪いました。これは、Cloudflareの視点から見てインターネットトラフィックが多かったという意味です(当社のランキングはDNSリゾルバー1.1.1.1のデータを基にしており、月間のユニークユーザー数や訪問回数とは無関係です。全世界のユーザー数が最も多いプラットフォームという観点で見れば、Facebookが抜きんでています)。
トップ10 — 2021年(後期)の人気ソーシャルメディアドメイン上位
1 TikTok.com2 Facebook.com3 YouTube.com4 Twitter.com5 Instagram.com6 Snapchat.com7 Reddit.com8 Pinterest.com9 LinkedIn.com10 Quora.com
Top 10 — 2020年(後期)の人気ソーシャルメディアドメイン上位
1 Facebook.com2 TikTok.com3 YouTube.com4 Instagram.com5 Twitter.com6 Snapchat.com7 Reddit.com8 Pinterest.com9 LinkedIn.com10 Quora.com
Facebookのサービス停止障害については、当社の視点から広く取り上げて説明しましたが、2021年10月4日はFacebookの順位にも影響し、Facebook.comはその週7日連続で3位の座を失いました(4位でした)。大手ソーシャルメディアのFacebookが4位に7日間も留まったのは(2020年9月のRadar開始以来)初めてのことでした。
ソーシャルメディアドメインのトップ10リストを見ると、2021年はYouTubeが3位、Twitterが僅差ながらInstagramを抜いて5位と順位を上げました。Twitterは、2020年の当社ランキングではInstagramの後塵を拝していました。
LinkedInは、当社の2021年人気ソーシャルメディアドメインランキングで9位につけ、総合でもトップ100に入っています。2021年は年間を通して順位を上げ、特に2月、3月は好調でした。プロフェッショナル向けソーシャルメディアのLinkedInは、6月から7月(北半球の夏季)にかけて順位を落とし、8月下旬に入って持ち直して11月に年間最高の総合52位まで上昇しました(同年1月は78位でした)。「大量退職時代」、「人材リセット」、「組織のマインドセット」といった言葉が取り沙汰された年に、このソーシャルメディアプラットフォームが成長したのは納得できます。
ストリーミング:「イカゲーム」のNetflix Gameが君臨
2021年は、いわゆる動画ストリーミング戦争の新たな重要ラウンドとなりました。新参プレイヤーが出現し、古参プレイヤーはサブスクライバー数、収益、コンテンツ予算だけでなくインターネットトラフィックでも驚異的な数字を叩き出しました。当社ランキングではNetflixが負けなしのヒーローでした。
リストにYouTube.com(主力サービスは無料)を加えてNetflixの数字と比較してみましたが、イカゲーム現象を起こしたNetflixはほぼ一年を通して1位に君臨しました。Amazon Primeは、主としてAmazon.com(ほぼ年間と通して5位または6位)をドメインとして使っているため、このランキングには含まれていません。
Netflixが一年で最も人気だった日はいつでしょうか。Netflixは1月は絶好調で、1日と2日、1月の全週末(金曜日を含む)に総合ランキング4位を獲得し、2月は5位をキープしました。その後はたいてい7位でした。お察しの通り、Netflixの順位は週末に上がるようです。
Roku.comは、トラフィックの猛者Netflix、YouTubeに次ぐ動画ストリーミングプラットフォームと目され、当社総合ランキングでは2021年を通して80位前後でした。2020年末にはHulu.comがストリーミングで4位につけていましたが、2021年7月にHBOMax.comに追い抜かれました。HBOMax.comは総合トップ100入りしています。2021年はDisneyplus.comも順位を上げ、アプリケーションベースのTVサービスSling.comを追い抜きました。当社のトップ10には、中国のオンライン動画プラットフォーム Iq.com(iQiyi)も含まれています。
トップ10 — 2021年(後期)の人気動画ストリーミングドメイン上位
1 Netflix.com2 YouTube.com3 Roku.com4 HBOMax.com5 Hulu.com6 Peacocktv.com7 Disneyplus.co8 ParamountPlus.com9 Sling.com10 Iq.com
トップ10 — 2020年(後期)の人気動画ストリーミングドメイン上位
1 Netflix.com2 YouTube.com3 Roku.com4 Hulu.com5 HBOMax.com6 Peacocktv.com7 Sling.com8 Disneyplus.com9 Iq.com10 Wetv.vip
Netflix 対 YouTube
チャートでは、ほぼ一貫して優勢だったNetflix.comがピンク、YouTube.comは黄色
当社のリストでは、NetflixとYouTubeはもちろん、Roku、HBOMax、Hulu.com、Peacocktvも他より遥か上にあります。Disney+も追い上げてきています。
eコマース:トップ3はAmazon、Taobao、eBay
パンデミックが始まって以来、eコマースはそれまでにないスピードで繁栄と成長を続けました。四大eコマースドメイン(Amazon、Taobao、eBay、Walmart)はいずれも当社総合ランキングのトップ100に入っており、年間を通して安定しています。
eコマースのリストでは、中国の大手Jd.comも何度かトップ100入りしました(主に5月、6月)。6月は特に好調で、6月18日には618のショッピングイベントがあり、Walmartを下し、eBayに迫る68位に達しました。
下のリストを見ると、2021年のランキングでJd.comがShopify.comを追い抜いて5位につけていることがわかります。また、Bestbuy.comとTarget.comも前年に比べて順位が上がっています。
トップ10 — 2021年(後期)の人気eコマースドメイン上位
1 Amazon.com2 Taobao.com3 Ebay.com4 Walmart.com5 Jd.com6 Shopify.com7 Bestbuy.com8 Target.com9 Rakuten.co.jp10 Homedepot.com
トップ10 — 2020年(後期)の人気eコマースドメイン上位
1 Amazon.com2 Taobao.com3 Ebay.com4 Walmart.com5 Shopify.com6 Jd.com7 Olx.com.br8 Rakuten.co.jp9 Target.com10 Bestbuy.com*
2020年の12月19日から同24日にかけては、Shein.comがBestbuy.com、Target.comより上位になりました。*
その他のトレンド
既に説明したように、Amazon.comはeコマースサービスだけではありません(そのため、総合ランキングでは4位から6位に入っています)。2021年は1月と4月下旬に好調な日が何日かあり4位に達しましたが、その後年末までの最高位は、サイバーマンデーの前日の11月28日と、12月1日、12月6日に5位になっています。
Taobao.comの最高位は8月20日の15位で、中国で一大商戦が繰り広げられる11月11日(光棍節(独身の日))には17位でした。
eBayは一年を通して堅調で、8月下旬(8月31日)に29位となりました。サイバーマンデー後にさらに順位を上げて、12月1日の27位がピークでした。
Shopifyも8月が好調で(8月18日に100位)、Etsy.comもピークの8月21日に128位と善戦しました。Walmartは6月(66位)と11月末(70位)にトラフィックを伸ばしました。
Ikea.comは一年を通して存在感を増し、9月のピークで総合ランキングで695位と、Homedepot.comに迫る勢いを見せ、その後11月末まで好順位をキープしました。
Best Buyのピークは10月6日で、11月中も高い伸びを維持し、12月もShopifyに匹敵する水準で推移しました。
Shein.comを見ると、昨年のクリスマスにピークとなり、2021年も11月以降順位を上げてきています。
ファストファッションのオンラインリテールをグローバルに展開する中国のShein.comは、2020年のクリスマスにランクを上げ、12月19日から24日にかけて、Bestbuy.comとTarget.comを抜いて253位になりました。2021年3月に再びピークを迎え、サイバーマンデー後の12月1日に年間最高位の301位を記録しています。
2021年:宇宙の旅(NASA、SpaceX、Blue Origin、Virgin Galactic)
2021年は宇宙旅行のカテゴリーが躍進し、いくつかの成果が上がりました。アラブ首長国連邦、中国、米国の3つの火星探査プログラムが送った宇宙船が、2月に火星に到着しています。NASAのプログラムでは、探査車パーサビアランスが2月18日に火星地表に着陸した後、ドローンのインジェニュイティが人類史上初めて他の惑星の上空を飛んだ動力飛行機となりました。もう一つの一大宇宙イベント、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げももうすぐです。
さらに、Virgin Galactic(7月11日打ち上げ)、Blue Origin(7月20日打ち上げ)、SpaceX(9月16日打ち上げと、衛星とスペースカプセルの再利用に関するいくつかのイベント)も、それぞれスコープは異なるものの宇宙観光分野で業績を上げ、インターネットを席巻しました。軌道飛行を提供したのはSpaceXだけです。
ドメインについては、NASA.govが他の追随を許さず1位、イーロン・マスクのSpaceX.comが2位を確保し、Blueorigin.comがそれに続きました。Virgingalactic.comが当社のトップ100,000に入ったのは、リチャード・ブランソンの宇宙飛行から数日後の7月17日と18日だけでした。
昨年以来、NASAは総合ランキングでも好調で、当社のトップ1,000ドメインリストに入っていましたが、2月18日に探査車パーサビアランスが火星に着陸した後はNASA.govがトップ700入りしました。2月中の最高位は25日の657位です。夏場は順位が下がりましたが、9月下旬に再び上がり、10月13日には年間最高位の637位に達しました。その日は、NASA初の木星トロヤ群小惑星探査機となるルーシーについて記者会見が行われた日です(打ち上げは10月16日)。
SpaceX.comは2月の出だしが好調で、トップ8,000に入りました。インターネットサービスStarlinkの衛星60基を新たに打ち上げて軌道上に配置し、ロケットが着陸に失敗し、資金8億5000万ドルを新たに調達した月です。その後は、9月16日に民間人だけを乗せたインスピレーション4の地球周回飛行を成功させ、再び順位を上げました。
Blue Originは、1月10日(ニューシェパード4の初テスト飛行の数日前)にトップ32,000入りし、幸先の良いスタートを切りました。ジェフ・ベゾスらを乗せた初の有人飛行が成功した後の7月20日から27日にかけて、順位を上げました。俳優ウィリアム・シャトナーが同社のカプセルで弾道飛行した10月13日の数日後にも、順位が上がっています。
メッセージングとチャット:WhatsApp他
メッセージングやチャットのプラットフォームは、ソーシャルメディアサイト、動画ストリーミング、eコマースのプラットフォームほど多くありません。そのためランキングするドメインがそもそも少なく、Messenger(Facebook.comを使用)やiMessage(Apple.comを使用)が含まれていないため、なお少なくなっています。Snapchatはソーシャルメディアプラットフォームであり、メッセージングアプリでもあります(Instagramと同様)ので、ソーシャルメディアのランキングに含めました。もしこちらのカテゴリーに含めていれば、WeChatより高くWhatsAppよりは低い順位になっていたでしょう。Instagramは年初は8位で2月までWhatsAppを上回っていましたが、その後13位まで下がっています。Snapchatの順位は16位から29位の間で推移しました。
2021年(後期)の人気チャットドメイン上位
1 WhatsApp.com2 WeChat.com3 Signal.org4 Telegram.com
2020年(後期)の人気チャットドメイン上位
1 WhatsApp.com2 Signal.org3 WeChat.com4 Telegram.com
当社の視点から見ると、WhatsAppは紛れもなくメッセージングアプリの首位で、総合ランキングで最低13位、最高8位でした。特に好調だったのは3月下旬、4月下旬、10月下旬、11月下旬から12月にかけてで、8位に入っています。
Signalが1月に急伸(WeChatは2月)
当社のランキングでは、Signalが他を大きく引き離しました。注目すべき2021年のトレンドは3つあります。
Signal.orgは1月は絶好調で、当社ランキングでは3日に1815位だったのが20日には766位と、わずか17日の間に1000以上順位を上げました。その理由は何でしょうか。WhatsAppの新たなプライバシー保護方針が1月第二週にニュースになったからです。
WeChat.comの順位も急上昇しましたが、こちらは2月で上げ幅はさらに大きく、4月までにはSignal.orgを追い抜きました。2月初めには3142位だったのが、4月25日には979位まで上昇しています。これらのメッセージングアプリは、10月までには370位以内でほぼ肩を並べ、2020年末の大きく躍進しました。
一方、Telegram.comは年間を通して順位を下げましたが、トップ38,000内には留まりました。
「メタバースでは、(スタートレックの)カーク船長がビーム転送で移動するように簡単にどこにでも現れることはできない。もしできたら周りの人に混乱を招き、迷惑だ。その隠喩はもはや当てはまらなくなる。どこからともなく現れること(あるいは現実世界へと姿を消すこと)はプライベートな機能であり、自宅でするのがよい。」
― ニール・スティーヴンスン、『スノウ・クラッシュ』(1992年)
メタバース:Robloxを舐めるな
11月にリスボンでグローバルテクノロジーイベントWebサミットが開催され、4万2000人が参加しました。このイベントで、「ある意味で、メタバースは既に存在している」という発言がありました (Robloxの音楽部門グローバル責任者が考えていたのは仮想コンサートです)。しかし、ニール・スティーヴンスンの『スノウ・クラッシュ』やアーネスト・クラインの『レディ・プレイヤー1』(邦題『ゲームウォーズ』)などの本で描かれた仮想世界の生活に近いものの実現には、まだまだ程遠いのが現状です。
Oculusは大量のヘッドセットを出荷し、メタバースのような没入型体験(一日中コンピューターの画面を通して仕事し、学習し、交流する人の大半にとっての日常的体験より一歩進んだ体験)はあります。今回はそうした体験を提供するFortnite、Roblox、Second Life(2003年からある最古参)、Minecraft、Oculusといったドメインに焦点を絞りました。しかし、Oculus.comはトップ100,000にランクインするには直接トラフィックが不十分でした(Oculusのヘッドセットを使ってゲームをすると、トラフィックが他所へ誘導される可能性があります)。Minecraftも同様です。
2021年(後期)の人気メタバースドメイン上位
1 Roblox.com2 Epicgames.com(Fortnite)3 Secondlife.com
Oculus.comとMinecraft.netはトップ100,000に入っていません。
2020年(後期)の人気メタバースドメイン上位
1 Epicgames.com(Fortnite)2 Roblox.com3 Secondlife.com
Oculus.comとMinecraft.netはトップ100,000に入っていません。
2020年と2021年の短いリストから、Roblox.comがEpicgames.com(人気のあるFortniteのホーム)を追い抜いたことがわかりますが、両者の順位は、Roblox.comが27位まで上がった2021年7月に初めて逆転しました。ただし、ライバルのゲームプラットフォームであるEpicgames.comの上位を維持するのは9月下旬からで、2021年を20位で締めくくっています。
Epicgames.com(Fortnite)の2021年は、1月5日に14位とまずまずの滑り出しでしたが、2月に入って存在感が薄れ始め、5月以降(特に7月、8月)は振るいませんでした。順位は日によって26位から47位で、回復しきれないまま年末を迎えました。
結論:人間の(オンライン活動の)トレンド
地球上の人間が静かで受動的な存在ではなく活動し反応するように、インターネットは静かな場所ではありません(特にパンデミック中)。当社のドメインランキングの上位陣には1年を通じて劇的な昇降はなかったようですが(TikTokとYouTubeは例外)、ミャンマーのクーデターとその後バズった動画のような事象がYouTubeをランキング1位に押し上げる場合があることがわかりました。また、eコマースにも1年中影響があったこと、宇宙関連のWebサイトが重要イベント続きで(オンライン活動が)活発な1年だったこと、Netflixがクリスマス前後に順位を上げたこともわかりました。
今後もぜひCloudflare Radarにご注目いただき、当社の視点から見たグローバルと国別のインターネットトラフィックを監視してください。