今週、Cloudflareは設立14周年を迎えます。私たちは、この週を自らの誕生日だと捉えています。創立1周年以来、Cloudflareでは毎年バースデーウィークにインターネットへのお返しのギフトとして新たなプロダクトを発表しています。また、ここ5年間はこの機会を利用し、弊社のビジネスとインターネットの状況を反映した創業者の年次ご挨拶を差し上げています。もちろん、今年も同様です。
とはいえ、昨年を通し、例年よりもパブリックイノベーションウィークが少ない点にお気づきになったかもしれません。1年ほど前、新機能のリリースよりも内部システムの改善に注力する必要があると判断するに至った数件のインシデントが発生したのがその理由です。弊社のチームは昨年を通し、セキュリティ、レジリエンス、信頼性、信頼性を最優先事項として全力を注いできました。現在、Cloudflareの基盤となるプラットフォームとその上で動作する製品は、以前よりかつてないほど堅牢さを誇っています。
その作業がほぼ完了し、プラットフォームがこれまでで最高の形となり、これまで通り弊社で行ってきた通り、新プロダクトのローンチを通常のペースへと戻す計画でいます。今回のバースデーウィークでは、弊社のお客様すべてのWebサイトをなんと45%にも上る自動かつ無料での高速化、コネクティビティクラウドだけが可能なパフォーマンスの改善の発表、弊社の開発者向けプラットフォームをより早く使いやすくすための新機能、Webにおける最後の暗号化の穴を閉じること、AI推論のグローバルでの加速、スタートアップ企業やオープンソースコミュニティに新しいレベルのサポートを提供するなど、さまざまなソリューションを提供します。
弊社のチームによるインターネットへの恩返しの場となり、私たちの使命を実現することができることから、この1週間は一年中で弊社にとって期待に満ちた週となります。
今後のインターネットの課題
現在のCloudflareプラットフォームの堅牢性は、昨年に渡ってはるかに脆弱性を増したインターネットで感じられるものとは、対照的なものとなっています。弊社がより優れたインターネットの構築を支援すると初めて宣言して以来、「より優れた」とは、より速く、より信頼性が高く、より安全で、よりプライベートで、より効率的なインターネットを念頭に置きました。しかし現在では、これはより根本的なものであるかのように感じられます。
昨年は、インターネットのシャットダウンとインターネットアクセスの限界が普遍化したことが特徴となりました。かつては権威主義的な政権が専ら用いた戦術が、裁判所や立法機関が把握されている損害を制御するために基本的なプロトコルを制限する責任を負う欧米の民主主義国にさえ広がっています。
限られた法域の裁判所では、好ましくないと判断したサイトをDNSレベルで世界的にブロックするよう命令する、また国家に対し標準テストでの不正行為を防ぐ名目で国民のほとんどに対しインターネットをオフにする(一方で富裕なおよび政治的につながりのある近隣諸国にはオンにしたままにする)ケースが劇的に増加しており、さらにインターネットサービスプロバイダーがコンテンツクリエイターに新税を課す法規制を提案したり、以前からインターネットは少ないに越したことはないと宣言していた国ではサービス全体が禁止されたりしています。
残念ながら、これはインターネットの歴史の中で暗い時代と言えます。
オリジナルなコンテンツ制作に対するAIの脅威
同時に、Webのビジネスモデルは侵食されています。検索が優位だった直近までのWebの時代での見返りは、Googleのような企業にトラフィックを送信してもらう代わりに、Webサイトのデータをスクレイピングさせることが前提条件となってきました。このモデルでは、コンテンツクリエーターは広告や商品の販売を通じてトラフィックから価値を生み出したり、もしくは自分が作成したものを時間をかけて閲覧する十分な関心を持つユーザーがいることを知った上で自尊心を満たせてきました。
この見返りと同じものは、私たちが移行しようとしている時代、つまり、権威ある情報源を訪問することなく質問に対する答えが出力されるAI時代においては、当てはまらないのです。さらに、コンテンツクリエイターが自らのコンテンツから価値を生み出すことができなくなるのであれば、生み出されるコンテンツが減少するのは必然ことであり、モデルを訓練するためにオリジナルコンテンツが必要となるAI企業を含め、私たちは結果として損失を被ることになります。
役割を引き継ぐ
インターネットは依然として可能性の詰まったものであり続ける一方、もはや避けられないものではなくなったかのように思われます。活発に活動する悪意のある者から攻撃を受けており、善意が無視され腐敗し始めています。また、最大手のテクノロジー企業は自社の規制に関する課題に気を取られており、明確な指導者的存在がいません。そんな中、こうした役割を弊社が担っていることを誇りに思います。Cloudflareでは、インターネットを信じ、そのために戦いっているのです。
だからこそ、弊社は公共政策チームに投資し、議員や裁判官に対し、基本的なプロトコルを不安定化させることなくインターネットの限られた一部で生み出される被害を制御する最善の方法を啓蒙しています。弊社のサービスの多くを無料で提供することが重要であると考える理由はここにあります。そしてこの理由により、今回のこのバースデーウィークで、オリジナルコンテンツを求めるAIシステムが公平な方法でコンテンツクリエーターに報酬をもたらすようにするための新しい方法について発表します。新しいパラダイムがなければ、インターネットの繁栄を可能にしたインセンティブが縮小し、その奇跡が薄れてしまうのではないかと心配しています。
ミッションは重要です。Cloudflareが掲げるミッションは、より良いインターネットの構築を支援することです。弊社または上級管理職の1人は、弊社のミッションの重要性を確実に伝えるため、今でも採用している候補者全てと話をしてからオファーを出します。最も一般的な質問の一つに挙げられるのは、Cloudflareの文化をどのように保存していくのかについてのプランです。私たちの答えは常に変わりません。目指すのは、どのように文化を保存するかではなく、常にどのように改善していくかについてです。インターネットについても、同じことが言えます。過去を保存しようとするだけでは機能せず、それを改善する新しい方法を想像する必要があるのです。
そのためには、志あるものが立ち上がり、より良いインターネットを想像しなければなりません。インターネットが奇跡であり続けているにもかかわらず、インターネットに関する肯定的な記事を読んでからあまりにも長い時間が経ち、理想が理想のままの姿ではなくなってきています。そんな奇跡を守るだけでなく、より良くするためのチーム、プラットフォーム、その役割を引き継げる力を持っていることを、弊社は誇りに思っています。それが弊社の使命であり、Cloudflareのすべての原動力となっているものです。そして、他のどこよりもこの1週間でその在り方が見られることになるでしょう。もしあなたも弊社のミッションに共感できるなら、弊社のチームにご応募ください。
弊社の使命達成に向けて前進する新棚プロダクトの紹介が続く、今回のバースデーウィークにご期待ください。世界中のCloudflareチームに改めて感謝を述べたいと思います。Cloudflareは、これまで達成してきた仕事のおかげでより強くなり、Cloudflareによってインターネットはさらに強さを増していくのです。